皆さんは、「お口のメンテナンス」という言葉を聞いたことはありますか?
メンテナンスを日本語にすると「維持」「持続」「保全」などの意味になり、歯科では、治療ではなく予防という観点からメンテナンスという言葉を使用することがあります。
悪くなったら治す「治療」ではなく、悪くならないための「予防」がお口の健康を守るためには最も大切なことです。
お口のメンテナンスの取り組みには、セルフケアとプロケアの2つがあります。
セルフケアは、ご自宅でする歯磨きなどで、お口の健康を守るための基本となります。
プロケアは、歯科医院で行うもので、メンテナンスの専門的な知識と技術を持つ歯科衛生が、専用の器材を使ってセルフケアでは取り除くことができないお口の細菌や汚れを除去します。
むし歯や歯周病の原因となるのは、全て細菌です。
この細菌を増やさないためのメンテナンスが、お口の健康を持続することに繋がります。
お口の問題と言えば、むし歯や歯周病を思い浮かべる方も多いと思います。
しかし、お口の問題には、噛み合わせが悪い、入れ歯が合わない、親知らずが痛いなど、様々なものがあります。
そして、これらの問題の多くは突発的に起こるのではなく、必ず前兆があり、その前兆に気づくことができず、大きな問題になったときに初めて自覚症状として現れます。
もし、定期的にお口のメンテナンスを受診していれば、問題の原因となる小さな変化に気づくことができ、最小限の処置で問題を未然に防ぐことができるケースも多くあります。
昨年のひろき通信11月号vol.56でお伝えした歯の破折は、抜歯になってしまう可能性が高くなりますが、定期的にメンテナンスを受診されていれば、早い段階で噛み合わせに問題があることに気づき、破折リスクを抑えることができます。
日本では、まだ定期メンテナンスは一般的ではありませんが、生涯できるだけ多くの自分自身の歯で生活するためにも大切なお口のメンテナンスです。