口腔の健康を守り続けるためのメンテナンスで通院されている方と、口腔に問題があり健康を取り戻す治療のために通院されている方のどちらにも共通しているのは「歯を残したい」という気持ちだと思います。
では、「なぜ歯を残すことが大切なのか」をお考えになられたことはあるでしょうか?
「歯がある方が見た目が良い」「歯がないと食事がしにくい」という理由も多いと思いますが、実は、歯があることと全身が健康であることに深い関わりがあることをご存知でしょうか?
2017年には、東北大学の研究成果として、高齢期に残存歯数が多い人ほど健康で長生きであると発表されました。(下グラフ)
この研究で注目するべき点は、歯が20本以上残っている人は、寿命が長いだけでなく、健康寿命も長く、要介護期間の割合も短いということも明らかになったことです。
歯を失う原因には、むし歯や噛み合わせなどの問題から生じる歯の破折などがありますが、最も多いのが歯周病です。
歯周病は、歯ぐきを弱らせることで歯を支えることができなくなってしまう病気ですが、その他にも、歯周病を引き起こす細菌は、全身の健康にも大きな影響を与えてしまいます。
歯周病は、糖尿病や脳梗塞のほか、誤嚥性肺炎、早産、アルツハイマーなど様々な大病へと繋がる因子になります。
特に、糖尿病への影響があることから、糖尿病を患っている方は歯周病治療をはじめとした口腔ケアに取り組むことが大切になります。
歯の本数が少ないと、食べにくいものも多くなることから、食事の栄養バランスも崩れやすくなってしまうほか、転倒リスクも上がるというデータもあります。
口腔の健康を守り歯を残すためには、毎日の歯磨きと定期健診が欠かせませんが、すでに失われた歯がある方や問題を抱えている方は、問題を解決するための治療を受け、しっかり噛める状態を維持することが大切になります。